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【検証】YouTubeの新機能「一定音量」について

2024/11
【検証】YouTubeの新機能「一定音量」について

YouTube再生設定には一定音量というボタンがあります。

一定音量ボタン

「一定音量」という名前から、きっと音量をいい感じに一定にしてくれるのだろう…というところまでは想像できるのですが、実際には、音にどのような変化が起きるのでしょうか。

本記事では、この一定音量機能について検証を行ってみました。



1ラウドネスノーマライゼーションとその問題について

YouTubeにはラウドネスノーマライゼーションというものが備わっています。

その効果とは、

平均ラウドネス値-14.0LKFSを上限とし、
それよりラウドネス値が大きい動画は強制的に-14.0LKFSまで下げる

というものです。

オリジナル
ラウドネス値-14.0LKFSより大きい動画は
ラウドネスノーマライゼーション適用後
強制的に-14.0LKFSまで下げる

これにより、音が大きすぎる動画は全て-14.0LKFSに統一されることになるので、動画間の音量のバラツキを減らすのに一役買っていました。

しかし、-14.0LKFSよりラウドネス値が小さい動画については何の処理もされず、音が小さいままの状態で再生されていました。



ポイント

ラウドネスノーマライゼーションでは、音が小さい動画はそのままになってしまう

2「一定音量」オン時のラウドネス値の変化について

この問題を解決すべく実装されたのが一定音量です。

では「一定音量」をオンにしたとき、音にどのような変化が起きているのでしょうか。

ラウドネス値が違う動画をいくつか用意し、それぞれ一定音量オンオフ時のラウドネス値がどのように変化するのか計測してみました。

    動画 ①
    一定音量オフ-14.0LKFS
    一定音量オン-14.0LKFS
    動画 ②
    一定音量オフ-16.0LKFS
    一定音量オン-15.0LKFS
    動画 ③
    一定音量オフ-18.0LKFS
    一定音量オン-15.2LKFS
    動画 ④
    一定音量オフ-24.0LKFS
    一定音量オン-16.3LKFS

これらの測定結果から

一定音量オンにすると、-14.0LKFSから値が遠い音源は-14.0LKFSに近づくようにラウドネス値が大きくなっている

ことがわかりました。

加えて、ラウドネス値が-14.0LKFSの動画は、値の変化はありませんでした。


3「一定音量」オン時の音の変化について

では次に、どのような処理が行われているのか分析してみたいと思います。

一定音量オンオフにした状態の波形をそれぞれ比較してみます。

動画 ①
一定音量オフ-14.0LKFS
一定音量オフ
一定音量オン-14.0LKFS
一定音量オン

結果

波形の強弱に大きな変化はありませんでした。

動画 ②
一定音量オフ-16.0LKFS
一定音量オフ
一定音量オン-15.0LKFS
一定音量オン

結果

矢印の個所が大きく音量が下がっているのがわかります。
また、一定音量オフ時と比べて音の全体感からBGM部分が大きくなっており、ナレーションの音量はほとんど変化していないため、バランスが崩れて聞き取りづらくなっています。

動画 ③
一定音量オフ-18.0LKFS
一定音量オフ
一定音量オン-15.2LKFS
一定音量オン

結果

一定音量オフ時の波形と比べて全体が増幅されました。
加えて矢印の箇所は他の波形に比べて持ち上げられ、全体バランスより際立って大きくなっています。

動画 ④
一定音量オフ-24.0LKFS
一定音量オフ
一定音量オン-16.3LKFS
一定音量オン

結果

元々のミックスでは音楽の音量は一定でしたが、一定音量オン時では矢印の個所のように段々と大きくなっています。

以上の結果から、一定音量オンになると音圧を上げる処理が発生し、元々のミックスバランスに対して様々な影響を与えてしまうようです。

MAスタジオでミックスを行う際、クライアント様、ディレクター、監督の方々のご希望に沿ったミックスバランスや音質に仕上げる作業を行います。

ですが、せっかく丁寧に仕上げた音もYouTubeにアップロードする際、ラウドネス値が小さいと、この一定音量の機能によってイメージ通りの音で再生されない可能性があります。

つまり、


ポイント

一定音量による音の変化を避けたければ、-14.0LKFS付近で動画をアップロードする必要があります。


4最後に

今回の検証結果から、YouTube用の動画を作成する際、自身が思う最良のミックスのバランスで視聴者に聞いてもらうためにはラウドネス値をなるべく-14.0LKFS付近にしておくことが重要であることがわかりました。

弊社スタジオではミックスを行う際、必ず動画の用途を確認した上で、最後の仕上げのレベルをご提案しております。
加えて、MIX時の演出や効果等のご相談も随時承っております。

音に関することでお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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