ノイズリダクション/オーディオリペア
撮影で収録した音声「同録」に対するお悩みは尽きないものと思います。
撮影現場では撮影優先ですから、正直、音のことは後回しになるということも多いのではないのでしょうか。
ピンマイク/ガンマイク/カメラマイク・・・様々なマイクで収録された音声の「音声修復:オーディオリペア」や「ノイズ除去:ノイズリダクション」についてご案内いたします。
1ノイズとは
撮影時の録音環境では、ノイズはつきものです。
実際には、屋外では車の走行音や風、室内では空調音等様々な音が鳴っています。
ただ、そこはあまり神経質になる必要はなく、「環境音」だと思えば映像編集時の簡単な調整もしくはMAスタジオにおける整音で対処できるものもたくさんあります。
その前提があるにもかかわらず気になるものをここでは「ノイズ」として取り扱っていきます。
2MAにおける同録処理
MAスタジオでは大まかに下記の流れで作業をします。
この工程の中の整音では
- レベルを整える
- 不要な音の処理
これは同録に限らず収録されたナレーションにも行われる作業です。
多少の音の凸凹や目立ったノイズはこの整音作業で処理を行います。
しかし、整音作業の範囲では処理しきれないものが同録には含まれていることがあります。
以下に例を挙げながら、同録トラブルの改善方法をご案内していきます。
3代表的な音声修復例
ここではノイズ処理/音声修復の代表的な例を挙げていきます。
※比較のためノイズの処理のみを行っています。リップ・ブレス等はそのままとしております。3-1:空調ノイズ
予期せぬエアコン駆動の強弱や、空調吹き出し口と撮影位置の干渉などがノイズ源になります。
ノイズ音の解析を行ない、特定された音の成分を減衰させて除去していきます。
3-2:機材ノイズ
撮影時に使われるカメラ、照明の電源などが原因でノイズが乗ってしまうケースがあります。
このタイプのノイズは規則的な倍音を含んでいることが多く、一つ一つの倍音を丁寧に処理していくことで元の声をなるべく損なわずにリペアを行います。
また、空調ノイズも同時に乗っているケースが多くあるため、併せて処理を行います。
3-3:音割れ
突然の大きな音(声)へ対応しきれず、もしくは、そもそものマイク入力レベルが大きすぎる等で音が「クリップ:音割れ」してしまうことがあります。
音割れによって失われた成分を修復することで音の歪みを解消します。
3-4:風
屋外での撮影時に、マイクが風に吹かれ「ボフボフ」といったノイズが乗ってしまうことがあります。
このボフボフとしたノイズの成分は、中低音域にあり人の声の成分の大事な部分にかかってしまっています。強く処理をすればするほど、声が芯を失ったような軽い音になってしまうため慎重な除去作業が必要です。
4ノイズ処理のポイント
映像編集時にPremiere等の編集ソフト付属のエフェクトをかけてノイズ軽減処理することはできますが、あまり強くかけすぎてしまうと声の成分を損なってしまい、かえって聞きづらくしてしまいます。
また、エフェクトは1つのものを強くかけるのではなくノイズの特性ごとに何段階かに分け複数のエフェクトで処理を行うと自然な仕上がりになります。
弊社のMAスタジオでは、まず、自然さを優先して整えていきます。映像が屋外の画像であれば風の音が多少聞こえても何ら不自然さはありません。
「音声修復:オーディオリペア」や「ノイズ除去:ノイズリダクション」は、ノイズを「なかったこと」のようにすることを目的とはせず、動画と音の調和を目指していきます。
ただし、監督やお客様のご意向で「ノイズをできるだけ聞こえないようにして欲しい」とのご要望があれば、できる限りの除去を行います。
先ほどの風のノイズを例に挙げて除去具合の強弱を聞いてみてください。
- 風の音をできる限り消した処理 A
- 声の重心をなるべく残し自然さを重視した処理 B
こちらの2パターンを用意しました。
5BGMとのバランス
BGMが入る作品についてはBGMにノイズがマスキングされる場合もあります。作品の最終形を意識して調整を行います。
過剰なノイズ除去で必要な音声が削られてしまうことを避け最適なMIXバランスを目指します。
6まとめ
ここでは「音声修復:オーディオリペア」や「ノイズ除去:ノイズリダクション」の一例をご紹介させていただきました。
ノイズは収録環境や収録対象物の音の特性などあらゆる組み合わせパターンが存在し、除去方法も一通りではありません。
先に触れた、BGMの有無に加えて対象音声が女性か男性かによっても最適なアプローチが変わります。
なにより、作品の最終イメージを形作られる監督:ディレクター、お客様のご要望を大切にしながら、その都度ご希望に寄り添ったご提案をさせていただきます。
お困りごとがございましたら是非ご相談ください。